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■ 会計工房通信 【No.0182】
そろそろ年末調整の作業をスタートする時期になりました。今回は、所
得税の所得控除のうち、年末調整に関係の深い「扶養控除」「配偶者控
除」「配偶者特別控除」を特集します。
所得控除の対象となる扶養親族や控除対象配偶者についてはいくつかの
要件が定められています。意外に間違いの多いところですので、よく確認
しておきましょう。
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実務便利帳(その1)
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◆扶養控除◆
1.制度の概要
納税者に所得税法上の扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額
の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。
2.扶養控除の要件
扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべて
に当てはまる人です。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)
または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や
市町村長から養護を委託された老人であること
(2) 納税者と生計を一にしていること
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払
を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
3.扶養控除の金額
控除できる金額は、扶養親族の年齢、同居の有無、特別障害者に該当
するか否かにより次のようになっています。
(1) 一般の扶養親族 38万円
(2) 特定扶養親族 63万円
(3) 老人扶養親族
同居老親等以外 48万円
同居老親等 58万円
※ 同居特別障害者に該当する人は、上記金額にそれぞれ35万円を
加算します。
※ 扶養親族が障害者の場合には、扶養控除の他に障害者控除27万
円(特別障害者の場合には40万円)が控除できます。
(注1)同居特別障害者とは、特別障害者である扶養親族で、納税者ま
たは納税者の配偶者もしくは納税者と生計を一にしているその他
の親族のいずれかと常に同居している人をいいます。
(注2)特定扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の
年齢が16歳以上23歳未満の人をいいます。
(注3)老人扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の
年齢が70歳以上の人をいいます。
(注4)同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶
者の直系尊属(父母・祖父母など)で、納税者またはその配偶者
と常に同居している人をいいます。
Q1 「生計を一にする」というためには同居が要件とされていますか。
A1 「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではあ
りません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場
合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合
や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、
「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互い
に独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一
にする」ものとして取り扱われます。
(所基通2-47)
Q2 配偶者の連れ子(所得なし)は扶養控除の対象になりますか。
A2 配偶者の連れ子(所得なし)は、一親等の姻族に該当しますので、
あなたと生計を一にしていれば扶養控除の対象となります。
(所法2)
Q3 従業員が地方に住む両親を扶養しているとして「給与所得者の扶
養控除等申告書」を提出してきた場合、会社(源泉徴収義務者)は
そのことを何らかの書類により確認する必要があるでしょうか。
A3 別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、
療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが
必要となります。法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する
書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、
正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により
送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認する
ことをお勧めします。
(所法2、所基通2-47)
Q4 郷里にいる母の生活費を兄弟で送金している場合、兄弟のうちだ
れが母を扶養控除の対象とすることとなりますか。
A4 兄弟のうち、だれか1人だけが扶養控除の対象とすることができ
ます。したがって、たとえ兄弟が均等に送金している場合であって
も、兄弟がそれぞれ重複して控除の対象とすることはできません。
(所法84、所令219)
Q5 生計を一にしている母には、厚生年金法に基づく遺族厚生年金が
120万円程度あります。母には他に所得はありませんが、私の扶養
親族とすることはできますか。
A5 扶養親族や控除対象配偶者に該当するか否かを判定する場合の合
計所得金額には、所得税法やその他の法令の規定によって非課税と
される所得の金額は含まれないことになっています。
厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金や国民年金法に基づく遺族
基礎年金などは非課税所得ですから、お母さんの合計所得金額は
38万円以下となります。したがってお母さんが他の人の扶養親族に
なっていなければあなたの扶養親族とすることができます。
(所法2、9、所基通2-41、9-2)
Q6 私の夫は本年6月に死亡しました。その後はサラリーマンの息子
と同居しています。私は夫が死亡した際の年末調整で配偶者控除の
対象になりました。
現在、私は非課税の遺族年金の収入しかありませんが、本年末の、
息子の年末調整において扶養控除の対象になりますか。
A6 納税者の控除対象配偶者又は扶養親族に該当するかどうかの判定
は、その年の12月31日の現況によることとされていますが、その納
税者が年の途中で死亡または出国した場合は、その死亡または出国
の時の現況により判定することとされています。
また、12月31日の現況において、ある一人の者を対象として複数
の納税者が重ねて配偶者控除や扶養控除を受けることはできません。
しかし、年の途中で死亡または出国した納税者の控除対象配偶者
または扶養親族に該当した人であっても、その後その年中において
相続人等他の納税者の控除対象配偶者または扶養親族に該当する場
合は、その納税者の控除対象配偶者または扶養親族として控除の対
象となることができます。
したがって、あなたは、ご主人の死亡時の年末調整においては配
偶者控除の対象となり、また、息子さんの年末調整において扶養控
除の対象となることができます。
(所法83、84、85、所基通83~84-1)
関連するリンク(国税庁・タックスアンサー)
→ http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm
→ http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180_qa.htm
【このコーナーでは、経理・総務の実務で役立つ話題を取り上げています。】
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実務便利帳(その2)
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◆配偶者控除◆
1.制度の概要
納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の
所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。
2.控除対象配偶者の要件
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件の
すべてに当てはまる人です。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しませ
ん)
(2) 納税者と生計を一にしていること
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払
を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
3.配偶者控除の金額
控除できる金額は、控除対象配偶者の年齢、同居の有無、特別障害者
に該当するか否かにより次のようになっています。
(1) 一般の控除対象配偶者 38万円
(2) 老人控除対象配偶者 48万円
※ 同居特別障害者に該当する人は、上記金額にそれぞれ35万円を
加算します。
※ 配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万
円(特別障害者の場合は40万円)が控除できます。
(注1)同居特別障害者とは、特別障害者である控除対象配偶者のうち、
納税者または納税者と生計を一にする親族のいずれかと常に同居
している人をいいます。
(注2)老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年の
12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
4.その他
配偶者控除の適用がない方で、納税者本人の合計所得金額が1,000万
円以下の場合で、かつ、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満で
ある者については、配偶者特別控除が適用される場合があります。配偶
者特別控除額は最高で、38万円ですが、配偶者の合計所得金額が増える
と控除額が少なくなっていきます。
Q1 内縁の妻は配偶者控除の対象となりますか。
A1 配偶者控除の対象となる配偶者とは、民法の規定による配偶者を
いいます。内縁の妻は、民法上の配偶者ではありませんから配偶者
控除の対象とはなりません。
(所基通2-46)
Q2 年の中途で控除対象配偶者が死亡した場合、納税者は配偶者控除
の適用を受けることができますか(納税者は再婚していません)。
A2 配偶者が死亡した時の現況において、控除対象配偶者の該当要件
を満たしているか否かを判定し、その要件を満たしている場合には、
納税者は配偶者控除の適用を受けることができます。
この場合、「配偶者の合計所得金額が38万円以下」という要件は、
配偶者のその年の1月1日から死亡日までの間の合計所得金額で判定
します。
なお、年の中途で控除対象配偶者が死亡した場合であっても、配
偶者控除額の月割計算等は行いません。
(所法2、83、85)
Q3 年の中途で納税者本人が死亡した場合、死亡した納税者の申告に
おいて、配偶者控除の適用を受けることができますか。
A3 納税者本人が死亡したときの現況において、納税者の配偶者につ
き控除対象配偶者の該当要件を満たしているか否かを判定し、その
要件を満たしている場合には、納税者は配偶者控除の適用を受ける
ことができます。
ただし、この場合の「配偶者の合計所得金額が38万円以下」とい
う要件は、上記Q2とは異なり、配偶者のその年の1月1日から12月
31日までの間の合計所得金額を見積もって判定することになります。
そして、その判定後に偶発的な事由により配偶者に所得が発生した
としても、それはこの判定に影響を与えません。
なお、年の中途で納税者本人が死亡した場合であっても、配偶者
控除額の月割計算等を行わないことは上記Q2と同じです。
(所法2、83、85、所基通85-1)
Q4 妻は退職後求職者給付を受け取っていますが、配偶者控除の対象
になるかどうかを判定する場合の合計所得金額にこの給付の金額を
含める必要があるのでしょうか。
A4 雇用保険法第10条に基づき支給される求職者給付は同法第12条の
規定により課税されないことになっていますので、控除対象配偶者
に該当するかどうかを判定するときに含める必要はありません。
(所法2、所基通2-41、雇用保険法10、12)
Q5 出産育児一時金は、控除対象配偶者の判定上、合計所得金額に含
める必要があるのでしょうか。
A5 健康保険法第101条の規定に基づき支給される出産育児一時金は、
同法第62条の規定により課税されないこととなっていますので、控
除対象配偶者に該当するかどうかを判定するときの合計所得金額に
は含まれません。
(所基通2-41、健康保険法52、62、101)
Q6 育児休業基本給付金は、控除対象配偶者の判定上、合計所得金額
に含める必要があるのでしょうか。
A6 雇用保険法第61条の4の規定に基づき支給される育児休業基本給
付金は、同法第12条の規定により課税されないこととなっています
ので、控除対象配偶者に該当するかどうかを判定するときの合計所
得金額には含まれません。
(所基通2-41、雇用保険法10、12、61の4)
関連するリンク(国税庁・タックスアンサー)
→ http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm
→ http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191_qa.htm
【このコーナーでは、経理・総務の実務で役立つ話題を取り上げています。】
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実務便利帳(その3)
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◆配偶者特別控除◆
1.配偶者特別控除の概要
配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられ
ないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受
けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。
なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
2.配偶者特別控除を受けるための要件
(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下で
あること
(2) 配偶者が、次の5つのすべてに当てはまること
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しま
せん)
ロ 納税者と生計を一にしていること
ハ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じ一度も給与の支払
を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
ニ ほかの人の扶養親族となっていないこと
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であること
3.配偶者特別控除の控除額
配偶者特別控除の控除額は最高で38万円ですが、配偶者の合計所得金
額に応じて控除額は、次のようになります。
〔配偶者の合計所得金額〕 〔配偶者特別控除の控除額〕
38万円超 40万円未満 38万円
40万円以上45万円未満 36万円
45万円以上50万円未満 31万円
50万円以上55万円未満 26万円
55万円以上60万円未満 21万円
60万円以上65万円未満 16万円
65万円以上70万円未満 11万円
70万円以上75万円未満 6万円
75万円以上76万円未満 3万円
76万円以上 0円
4.配偶者特別控除を受けるための手続き
サラリーマンの場合、配偶者特別控除は年末調整で受けることができ
ますので、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別
控除申告書」を勤務先に提出してください。
関連するリンク(国税庁・タックスアンサー)
→ http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1195.htm
【このコーナーでは、経理・総務の実務で役立つ話題を取り上げています。】
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12月のお仕事
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【11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の
住民税の特別徴収額(当年6月~11月分)の納付】
納期限・・・ 12月10日(木)
【7月~12月分源泉所得税の納期限の特例届出書の提出】
提出期限・・・ 12月21日(月)
【10月決算法人の確定申告】<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・
(法人事業所税)・法人住民税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告】
<消費税・地方消費税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告】<消費税・地方
消費税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【4月決算法人の中間申告(半期分)】<法人税・消費税・地方消費税・法
人事業税・法人住民税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申
告】<消費税・地方消費税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事
業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)】<消費税・地方消
費税>
申告期限・・・ 平成22年1月4日(月)
【給与所得の年末調整】
調整の時期・・・ 本年最後の給与の支払をするとき
【給与所得者の保険料控除申告書、住宅取得等特別控除申告書の提出】
提出期限・・・ 本年最後の給与の支払を受ける日の前日
提出先 ・・・ 給与の支払者経由、その給与に係る所得税の納税地の
所轄税務署長
【固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付】
納期限・・・ 12月中において市町村の条例で定める日
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株式会社会計工房 / 安藤裕税理士事務所からのご案内
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◆メールマガジン「中小企業のための本当の経理」◆
税理士安藤裕がお届けするメールマガジン「中小企業のための本当の経理」
安藤がそのときに思っていること、感じていることをお伝えするメールマ
ガジンです。
発行はほぼ日刊。安藤の考え方がよくわかります。
メールマガジン「中小企業のための本当の経理」はメールマガジン配信サ
ービスの「まぐまぐ」からお申込みいただけます。(ID:150574)
→ http://www.mag2.com/m/0000150574.html
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編集後記
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「103万円の壁」という言葉があります。妻のパート収入が103万円を超
えると夫の扶養から外れて家庭の手取り収入がガクンと減るというイメー
ジで使われる言葉だと思います。でも、じつは税金に関しては妻のパート
収入が103万円を超えるかどうかで大きく変わることはありません。夫の
会社の家族手当が無くなったり、妻の勤務時間増加に伴って社会保険の負
担が新たに発生することはありますが、これらは基本的には103万円とは
別の問題です。共働きのご夫婦は言葉のイメージに惑わされないように注
意してくださいね。ちなみに扶養親族のほうは103万円を境に負担が急に
増える場合があるので、お子さんのアルバイトのほうがむしろ要注意かも
しれません。(編集担当 竹城)
◆最後までお読みいただき、ありがとうございました。
会計工房通信は毎週木曜日に発行します。次回の発行予定は12月3日です。
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